フィボナッチを使って環境認識をする方法を学習します。
MT4のフィボナッチ・リトレースメントの設定については当記事の最下部に書いていますので、ご参考に。
講師はもちろん、あきチャン先生(の動画)です。
親波を使って環境認識をする
フィボナッチ(フィボナッチ・リトレースメント)を使って環境認識をするために必須なのは親波(支配波)です。
親波は、現在のレートから左に辿って行って、まだブレイクされていない高値と安値を持った波になります。
以下のチャートで、ピンク囲みを現在のレートと仮定すると、
黄色の水平ラインで示した高値と安値の間で現在のレートは収まっているので、矢印で示したダウントレンドが親波となります。
親波を探す時の留意点
親波を探す時の注意点ですが、トレンドが継続している時など現在のレートから左に辿って行っても親波が見つからないことがあります。
この場合、その時間足チャートでは動いていない(支配出来ない)ということになりますので、例えば4時間足で親波が見つからない時には、一つ上の日足にして親波を求めることになります。
あるいは、4時間足チャートのままズームアウトして親波を見つける場合もありますが、遠くなると効きが悪くなることに注意しましょう。常に「直近に従え」の意識を持ちましょう。
フィボナッチ・リトレースメントの引き方
フィボナッチ・リトレースメントは左から右に引きます。ダウントレンドの場合は高値から安値へ、アップトレンドの場合は安値から高値へ引くのが基本となります。
MT4でフィボナッチ・リトレースメントを引くと斜めの線が表示されますが、これを基準線とします。
ヒゲ先が複数あったりする場合には、念の為に基準線がローソク足によく当たるところを選んで引きます。
フィボナッチを引くタイミング
フィボナッチ・リトレースメントを引くタイミングは、ダウントレンドが切り替えして行って、
①の最後の戻り高値(ラス戻り)を上抜けしたあたりとなります。
もう少し早い段階としては、①の戻り高値から小さく1トレンドをつけていますが、その戻り高値②を上抜けしたあたりで引いても構いません。
フィボナッチ50%の環境認識
フィボナッチ50%に水平ラインを引いてみます。
そうするとこのチャート(ユーロドル日足)ではフィボナッチ50%を境にして2つの違う種類の波があることが分かります。
第1トレンドと第2トレンド
あきチャン先生の波動の考え方によると、第1トレンドと第2トレンドがゼロ波を挟んで発生しているとしています。
①が第1トレンドの波動で、これがフィボナッチ50%のところで完成し、黄色で囲んだ戻り波動がゼロ波、そのゼロ波から底まで達する波動が第2トレンドです。
この環境認識が大切だとあきチャン先生は解説しています。ダウントレンドでは2種類の波が完成したら切り替えして行く(反転する)傾向が見られるとしています。
とにかく目線の判断に迷うところですが、そう考えるとフィボナッチ50%を境にして種類の異なる2つの波が出来ることにも納得出来ます。
フィボナッチ50%を境にした第1トレンドとゼロ波と第2トレンドを合成すると、大きく1つのダウントレンドが完成していることが判ります。
第1波よりも第3波の方が下落が強く(角度)大きく(値幅)なっているのが判ります。
第3波が大きく動くのがエリオット波動の考え方となります。これをもって下降波動は完成し、切り替えして行くと次は、そのアップトレンドを獲っていくことになります。
一般的にエリオット波動の下降波はA⇒B⇒Cとされますが、あきチャン先生は「上げも下げも5波」としています。
「下げも5波」とする理由については「切り返しの意識付けのため」としています。
オレンジの矢印は安値の幅を示していますが、第5波の安値の更新幅は、第3波の安値更新幅の半分程度であることが判ります。
つまり下落の勢いが無くなっていることが明らかですが、そうなると、ここから切り替えして行くのではないだろうかという意識付けをするために細かく見るようにしているとのこと。よって5波まで数えています。
下落の勢いが無くなる衰退期が第4波・第5波となります。あきチャン先生の波動のカウントについてはこちらの記事を参考にしてください。
基準線と波動の関係を見る
フィボナッチ・リトレースメントの基準線とレートの動きを見ると、黄色で囲んだ波動が基準線の右側(上側)で推移しています。
このように波動が基準線を割らずに上側に収まって動いた場合、切り返しがきれいに強く入る傾向があるとしています。
そうではなく以下の赤矢印で示したような、基準線を一旦大きく割り込むような動きを見せた場合には、
きれいに反発していかない傾向があるとしています。
トレードゾーンは23.6から76.4の間
フィボナッチ・リトレースメントの23.6%から76.4%の間がトレードゾーンとなります。
0から23.6%、76.4から100%の間は、いわゆる『頭と尻尾はくれてやれ』の部分となります。食べるところは23.6%から76.4%の間が対象となります。
基準線のセンターをラス戻りに合わせる手法
日足チャートの100期間移動平均線(下のチャートの青緑の移動平均線)の下にレートがある場合は、まだショート勢が強く上方向のトレードがしずらいのですが、そんな時に使う手法が、フィボナッチ・リトレースメントの基準線のセンターをラス戻りに当てるやり方です。
フィボナッチ・リトレースメントを①から②へ引きながら、基準線のセンターを赤丸のラス戻りに合わせて基準線をトレンドラインのように使います。
そうして基準線を上抜けした時がまず最初のロングエントリーのポイントとなります。
フィボナッチ23.6%へ大きく押しが入った場合は次のロングエントリーポイントとなります。その場合の到達目標はTの黄色の水平ラインまで。このラインは元々のフィボナッチ・リトレースメント50%ですが、下降第1トレンドの到達点でもありました。
チャートに黄色矢印で示したように切り返しの上昇のトレンドは、下降の第1トレンドに対応しているとしています。
もし下降の第1トレンドの完成(安値)がフィボナッチ50%のところではなく、もう少し下まで下落していた場合には、上昇の第1トレンドの到達目標のTは下降の第1トレンドの安値までとなります。
下降と上昇の第1トレンドが対応しているように、第2トレンドも同様に対応しているとあきチャン先生は解説しています(黄色矢印が第1トレンド、緑矢印が第2トレンド)。
フィボナッチ裏当て手法
上で解説された通常のフィボナッチ・リトレースメントの使い方は、ダウントレンドの親波に対してどのくらい戻ったか(アップトレンドの場合はどのくらい押したか)を見るために引きました。
フィボナッチ裏当て手法はそうではなく、トレンドがつくとしたらどこまで伸びるかを見るものです。
上のチャートなら、②⇒①を第1波とした場合に、第3波がどのあたりまで行くのか、その到達点を予測するのがフィボナッチ裏当て手法です。
通常とは逆にフィボナッチ・リトレースメントを①から②へ、右から左に引きます。ダウントレンドでは安値から高値へ、アップトレンドでは高値から安値へ引きます。
エントリーはフィボナッチ61.8%あたりから、決済目標は161.8%あたりまで、最大で200%までの値幅を考えることになります。
長期足にフィボナッチを当てて隙間を狙う手法
長期足の月足、週足、日足にそれぞれフィボナッチ・リトレースメントをひいて、その重なり具合・密集度合いからトレードするべきエリアかどうかを判断する方法です。
まずは月足チャートの親波にフィボナッチ・リトレースメントを当てます。
現在のレートのピンク○は、黄色○の高値と安値を親波として動いていますので、左から右にフィボナッチ・リトレースメントをひきます。
次に、同様に週足チャートの親波にもフィボナッチ・リトレースメントを引きます。
週足のフィボナッチは緑破線、月足は赤破線です。
そして月足、週足と同様に日足の親波にフィボナッチ・リトレースメントを引きます。
日足のフィボナッチはピンク、週足のフィボナッチは緑破線、月足は赤破線です。
ここまでで月足、週足、日足の3つの長期足チャートにフィボナッチを引いて完成です。そうして自分の使っている時間足に切り替えます。
基本的な見方は、長期足のフィボナッチが密集しているところはレジスタンスされやすいということ。
そしてフィボナッチの無い空白部分はトレードエリアと考えることになります。
4時間足チャートを1段ズームアウトしたのが下の画像ですが、
①が月足38.2%、週足61.8%、日足27.2%のフィボナッチが集まったゾーンで、ここにレートが至れば反発があるだろうとすることになります。
①から②、②から③はフィボナッチが空白のエリアですので、比較的すんなりとレートが進むことになります。
③から⑤にかけては、日足と週足のフィボナッチが狭くもなく広くもない間隔で並んでいますが、50%地帯ということも相まって揉んでいるような動きともなっています。
4時間足チャートのもう少し左を見てみると、
①はやはり強力な抵抗帯であることが判ります。
4時間足チャートの目立つ高値と安値について、フィボナッチが効いていると思われるもの、そして移動平均線が効いていると思われるものについてマークしてみたのが以下の画像です。
見た目で何が直接的な影響を与えたのだろうかと判断したのですが、ピンク○がフィボナッチ、黄色○が移動平均線、緑○がフィボナッチ&移動平均線、青○が影響なしです。
ピンク○と緑○の2つにフィボナッチが関わっています。長期足フィボナッチの手法はトレードの道標として有力ではないかと思われます。
フィボナッチ・リトレースメントの設定数値
MT4の場合、フィボナッチ・リトレースメントの数値はデフォルトで「0 23.6 38.2 50 61.8 76.4 100%」が入っていますが、このままの利用でOKとなります。
あきチャン先生の設定はデフォルトに「11.4 27.2 72.8 88.6」を加えています。これはハーモニック・パターンを見るために加えたものです。11.4と88.6 27.2と72.8は足して100になる組み合わせとなります。
数値の追加や変更は、フィボナッチ・リトレースメントを引いた時にプロパティを表示させて「フィボナッチ・レベル」で行います。
学習動画
天才数学者を主人公としたアメリカのドラマ「ナンバーズ」をご覧になったことがある人は分かると思いますが、フィボナッチ数列がよく登場していました。それは番組上、この世界や宇宙の理は方程式で表すことが出来るという数学の力をアピールしていくことは主役の存在感を増すためにも当然ではあります。
ただ、一般の日本人が考える以上にアメリカは数字が大好きなお国柄には違いないだろうなと思うのです。
例えば競走馬の走破時計を元に算出される競馬のスピード指数は、アンドリュー・ベイヤーが考案したベイヤー指数に端を発しますが、これは1970年代のこと。とにかく科学化、数値化するのが得意技に思えます。
そんな彼らがトレードにおいてもフィボナッチを無視するはずがないだろうと思うのです。
FX土曜勉強会《65》-1『フィボナッチで環境認識をする方法』
FX土曜勉強会《65》-2『フィボナッチで環境認識をする方法』
長期足にフィボナッチを当てて隙間を狙う手法は、こちらの動画となります。